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無理に話を打ち切ったからだろうか、理沙はそれ以上情報屋の話をしなかった。
会話の内容はいつものように翔君の話だったりクラスの女子の話に戻る事となった。
だからだろうか。
雪菜自身も実際、情報屋の事なんて忘れてしまっていた。
そんなものあるわけがない。
そう一度思ってしまったら、あんなにも時間をかけて検索したのが馬鹿馬鹿しくなってしまったのだ。
ところがその一週間後、たまたま部屋の掃除をしていた時、勉強机の引き出しの中から一枚のルーズリーフを見つけた。
それは雪菜が苦戦したあの夜、理沙の話を思い出し、書き出したものだった。
「情報屋…」
たった一週間で綺麗に忘れてしまっていたが、理沙の言葉をふと思い出した。
ルーズリーフにかかれているある言葉が目に入ったからだった。
“裏サイト”
“校内の噂”
「噂…ね」
理沙がそんなふうに呟いていた。
思い返して見れば“裏”という字も“噂”という字も一文字だ。
「まさかね…」
そう口に出してはみたものの何かひっかかる物を感じ、パソコンの電源を入れた。
別に信じているわけではないが、ふと見つけてしまったのだ。
漢字一文字で関連性のある文字を。
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