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雪菜は腰を上げるとベッドの上に放っておいた学生鞄のチャックを開けた。 内側ポケットの小さい方から更に小さな巾着袋を取り出すと、中身を指でつまみ上げた。 それは小さな鍵だ。 巾着をもったまま雪菜は引き出しの鍵穴に鍵を差し込み、右へ回した。 “カチャリ”という小さな音がすると、引出しは解放されたのだ。 「貯めてあったのにな…」 引き出しの中から少しだけ厚みのある封筒を取りだし、中を覗き込んだ。 そこには全部で一万円札が11枚あった。 親戚がそこまで多くない山城家だが、それでも正月にはお年玉というボーナスが手に入る。 小学生の時から少しずつ貯めていた貴重な財産だった。 中身を慎重に取り出すと改めて上から一枚ずつ数を数えた。 「…10…11…」 やはり中身は11枚。 その札束を握りしめたままもう一度画面を見た。
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