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【翔君の片想い疑惑】
それが頭の中から離れず、授業には全くと言っていい程集中できなかった。
左斜め3つ前の席にいる翔君に目をやれば必死にノートを書き写している。
野球部だというのに肩の少し上まで伸ばした髪はしっかりした髪質の黒髪だった。
夏には窓から入り込む風に揺られてたなぁ…なんて事を考えながら一応授業を聞いている振りをする。
「山城…P48を読み上げなさい」
「………………」
「山城!!!!」
「え?あ、はい」
ぼーっとしている時程よく当たるものだ。
自分が名前を呼ばれている事すら気付かないとは…
「えっと…」
48ページって言ってたな…
そこに書かれていた内容をひたすら声に出した。
「はい、そこまで。山城、座りないさい」
「はい」
よかった…
国語じゃなかったら「わかりません」と言って恥をかく羽目になるところだった…と言っても今の反応で話を聞いてなかったとバレてしまっていたら既に恥をかいている事になる。
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