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「ノートをとるのに必死なのはいいが、名前を呼ばれる事も頭に入れておけよ?」 教師と目があった瞬間、そう言われてしまった。 「はい…」 よかった… 彼には必死にノートをとっているように見えていたらしい。 翔君がいるこの教室内で恥をかくわけにはいかないのだ。 トップとまでは言わないが、学年でそこそこ上位の成績をとる翔に大差をつけては更に遠い存在になってしまうと雪菜は入学してからせめて成績だけはと頑張ってきたのだ。 努力をしなければ並みの成績をとることすら危うい雪菜にとって簡単な事ではなかった。 「雪菜、凄いね!!」 「何が?」 授業が終わるなり駆けつけてくる理沙。 何の事を言っているのかさっぱり見当がつかなかった。 「さっきの!!当てられたでしょ?」 「あ…うん」 一瞬ギクリとした。 やはり理沙には全く授業に身が入っていない事に気付かれてしまっていたのか… 「あんな難しい漢字スラスラ読んじゃうなんてさ」 「…………」 そうではなかったらしい。
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