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「ねぇ、雪菜(きよな)。情報屋って知ってる?」
中学からの親友である金井理沙(かないりさ)は二時間目の休み時間にこんな事を聞いてきた。
「情報屋?何それ、新しいテレビ番組?」
「違う違う。サイトよ、サイト」
情報屋というサイトを語る理沙はどこか興奮気味だった。
「サイト?何かの情報でも見れるの?」
「それがね、誰かの情報をお金で買えるんだって」
「誰かの情報?」
「そう。誰でもいいの。例えばこのクラスの誰かでも」
「…何それ?そんなサイトどこにあるのよ」
「それがね…わかんないの」
えへへと言いながら肩をすくめる理沙。
そんな理沙に雪菜は浅い溜め息をつくしかなかった。
それこそ何かいい情報でも持ってきたのかと思いきや、それは架空の話でしかなかったのだ。
「でもね、でもね!!見つかるかもしれないの!!」
「どうやって?」
「インターネットの検索機能よ!!」
理沙の興奮状態は続いた。
しかし検索機能で見つかるのなら、すぐにでも見つかるものなのではないだろうか?
「じゃぁ検索かけたらいいのね」
「それがね、ただ検索しただけじゃ出てこないのよ…。5つのワードを順番を間違えずに入れるとでてくるらしいの」
「…じゃぁ、結局見つけられないね」
理沙が言っているのはもはや都市伝説のようなものだ。
この手の話をすぐに信じるんだから…
4年の付き合いになる雪菜には理沙の性格を理解してしまっていた。
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