バレンタイン

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「独占欲?」 からかう様に言う千尋はさっきまでと異なりご機嫌な様子で私の顔を覗き込む。 「わ、わるい?」 口をとんがらがして横を向いた私に、事もあろうか千尋は顔を近付けて耳元に囁いた。 「朔ちゃんのその顔、そそるな。」 「…もう言わない。」 「ちぇ。」 全然“ちぇ”って顔をしていないくせに、“ちぇ”って言った千尋は余裕の顔で私の頬に手を添えた。 「で、チョコは?」 「今?」 ビックリして千尋に視線を向けた私はあまりの至近距離に再度ビックリして仰け反った瞬間に椅子が大きな音を立てた。
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