バレンタイン

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先程の美樹ちゃんの言葉を思い出して、恥ずかしくなって目を伏せる。 朝の教室なのに千尋がいつもより甘くて居たたまれない。 「…離してよ~」 拒否にならないような弱腰の私に千尋は可笑しそうに笑う。 結局、チョコはその場で渡さなかったけれど明らかに千尋用に用意したと分かる袋の中身をチラリと覗いた千尋は上機嫌な様子で友達の所に戻って行く。 でも、私達の一挙手一投足は女の子達に全部見られていたらしい。何とも言えない顔で私を見つめる何人もの視線を感じながら私は顔を背けて教科書を机に詰め込んだ。
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