バレンタイン

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以前の事もあって、千尋のバイト先にはあまり行きたくない。鈴子さんやバイトの人達には会いたい気持ちもあるけれど、また見たくもない物を見てしまうような気がしてあれから店には顔も出していない。 「分かった。」 千尋はあっさりそう言うと私の手を引き登校でごった返す下駄箱に向かう。 未だに慣れないこの行為。 しっかりと指を絡めて身を寄せて歩く私達は結構目立つ。千尋は全然気にならないらしいけれど、私はチラチラ見てくる女の子の視線が手に刺さって来るように感じる。 「で、チョコは手作りだよな?」 そんな私に千尋は意地悪い顔で笑って試すかのように覗き込んで来る。 「うん。」
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