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慌てて顔を逸らしながら答えると、その動作が気に食わなかったのか千尋が私の手を引っ張った。
「いい加減気にするの止めろよ。」
「だって、」
「あんまり挙動不審な態度を取るとここでキスすんぞ。」
私の言い訳を待たずに千尋の脅しが飛ぶ。本気なんだろう、私の腰に手を回そうとするから慌てて首を縦に振るとつまらなさそうに舌打ちをした。
時々、千尋の鉄の心臓が恨めしくなる。
私も千尋の10分の1でも度胸があれば千尋に似合いの彼女らしく振舞えるのにと思う。
思うけれど、なかなか慣れない。
そして、より一層そう感じてしまうのは今日がバレンタインデーだから。
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