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カップの中にはカフェラテ。
そして、泡の真ん中にニコちゃんマークが描かれていた。
「…わぁ。カワイイ」
気付いたら無意識に声が出てたんだ。
私は、カップから店員に目線を戻すと、彼は絞り出したような声で呟いた。
「…サービスです」
私はすいませんと一礼して、カップを手に取り、もう一度ニコちゃんと視線を合わせた。
…お母さんみたい。
久しぶりにお母さんに会えたみたい。
私が一口飲むと、泡は崩れて笑顔は歪んでしまったけれど、嬉しかった。
私は、ちょっと瞳に涙が溜まって潤むのを感じたの。
それを我慢して、店員を見た。滲む瞳の先にはネームプレート。
彼の名前は“加護”と書かれていた。
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