ミカエル

4/37
前へ
/346ページ
次へ
「我が名はガブリエル!大魔法使いであーる!」 大魔法使いガブリエルはそういうと、被っていたシルクハットから万国旗を出して見せる。 次に、空っぽになった帽子の中に、水を入れ、再度被ってみせた。 「!」 僕は息を飲んだ。 なんと水は落ちてこないではないか! そして、最後に帽子を開けて見せると、そこには薄灰色の鳩が、ガブリエルの頭を巣と間違えたかのようにスヤスヤと眠っていた。 僕は言葉がでなかった。 ガブリエル…いえ、ガブリエル師匠! 彼は真の魔法使いではないか! 大人になって、少しだけ穢れてしまった僕には、そのマジックはベタのベタ。基礎の基礎だってわかるけれど、子供の僕にとっては、それは本当の魔法のように感じたのです。
/346ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1302人が本棚に入れています
本棚に追加