プロローグ

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空前の売り手市場と言われた時代でも四大卒の女子の就職は難しかった。親に対しての意地と世間知らず故にコネにも頼らなかった。 大学ではろくに勉強もせず資格もとるような努力も怠っていたから尚更だ。就職活動は困難な道だった。 毎日午前中と午後何かしらアポイントを入れた。私だけではなくコネ無しで活動していた周囲の友人はみな同じような状況だった。 それでも不況下なら活動する場もない訳で厳しいとはいえ数を当たれるのはよかったのかもしれない。 付き合っていた彼と別れ傷心旅行から戻るとすぐから本格的な活動を始めたがなかなか内定がとれずにいた。 はっきりとした希望職種もなくただ感覚的に大企業ばかりに目を向けていたせいだ。 友人たちもみなそんな様子だった。リクルートスーツの着こなしと写真うつり位しか評価されるものがなかったかもしれない。 そんな日々を送っていた初夏の頃だった。 私は内定は2つほど取っていたがどちらもあまり希望する職種ではなかったのでほかにも内定をとるべく活動を日々続けていた。 ある晩電話がかかってきた。
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