プロローグ

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フォークでパスタをつつきながら時々早川の顔をみた。あまりしげしげと見るのは恥ずかしいがつい目が行ってしまう。 顎の線がすっきりしているのにちょっと骨っぽいところが男を感じさせる。触れてみたくなるような完璧な骨格。 早川が不思議そうな顔をして私をみた。 「ごめん、今日は車だし夜アポイントが入ってるから酒は飲めないな。今度にしようね。」 ずっと年下の子に言い聞かせるような言い方をする。この時だけではなくいつもそんな感じだ。 そんな話し方をされるとわざと甘えてわがままを言ってみたくなる。 「うん。」 でもこの時は素直に頷いて私は言った。 「夜、お仕事だったのによかったの?」 「大丈夫だよ。遅くまではいられないけど夕方までは時間あるから大丈夫。」 そう早川は答えた。 「ありがとう。」 と私は言った。 「ごめん、本当に最近おかしくなってきちゃって。忙し過ぎるね。」 「前はそうでもなかったの?」 「うん、前から忙しいには忙しかったけど。ここまでじゃなかったね。」 「そんな忙しい時に時間作ってくれてありがとう。」 私は本当にうれしくてそう言った。忙しい合間の隙間のような時間でも私との時間を作ってくれるなんて。 「いや、丸一日空く日はほとんどないんだ。こんなふうにしか時間とれなくてごめんね。」 「全然。ごめんなんて。私、うれしい。」 私は笑顔で言った。 早川も笑顔を返してくれた。私に向けられたその笑顔も完璧すぎて胸が躍った。
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