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4月。
ほかの女の子たちと同様、大学デビューして毎日お洒落とバイトと遊びに明け暮れた。
花の女子大生なんて言葉があった頃だ。
勧誘されたサークルにもいくつか入ってみた。
とにかく綺麗になることが一番だった。枝毛を切り前髪を綺麗に立ち上げキューティクル輝く背中まで流れる美しい髪。
シャネルやディオールのコスメ。爪磨き。バッグの中身はメイク道具一式、ホットカーラー、アトマイザー、そんなものばかり。
お洒落ばかりにエネルギーを費やしていた。
授業も出席を取るものにしか出ない。教科書、ノートはロッカーに置きっぱなし。学校は待ち合わせ場所だった。
友達のチカが斜め前にいた。首に星の砂のように光るごく細いチェーンをしている。白い肌ときれいな産毛にチェーンが光り、同性の私でもゾクっとするほど色っぽい。
それをチカも知ってて一番綺麗に見える衿ぐりの開いたシャツを着ているのだ。チカがさらさらの髪を耳にかけると白いうなじが見える。官能的過ぎる。
チカと私はほかの大学のサークルに入っていてチカの彼氏は三年生の先輩だ。この前チェーンは彼氏からのプレゼントだと私と他の友達に自慢していた。
「ついでにこれも。浮気しちゃダメだよって。」
とチカは言って胸元のキスマークまで見せてくれた。生々しくてクラクラする。
私にはまだ彼氏がいなかった。
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