プロローグ

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初体験の彼氏との別れは突然やってきた。 大学4年になる前の春休みだった。その別れには詩的なムードは何もなくとても散文的であまりかっこいいものではなかった。 事の発端は前の年の夏の終わりに二人で旅行に行った事が私の親にばれた事だった。 頭の固い親はプラトニックなグループ交際しか認めないなどと時代錯誤的な事をわめいていた。 真面目な彼は哀れなほど馬鹿正直に事に向き合った。そして私に向かって言った。 「俺、嘘つくのは嫌なんだ。お前の親には肉体関係は持たないって約束したんだ。」 ホテルでさんざんセックスした後で彼は言ったものだ。 「だって今もしたじゃない?もうしないって事?」 私は聞いた。 「それは無理だよ。でも、なんか約束したことを破るのが嫌で…」 彼が何をいいたいのかよくわからなかった。 「でも今お前の両親に向かって結婚を前提にお付き合いしていますって言うつもりはない……」 そのあとにいろいろ続いたのだが私にはこの一言がグサリと刺さった。
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