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やがてその沈黙を破ったのは、以外にもミレイだった。
「どうぞ、続けて下さい。
私はお邪魔をするつもりはありませんから。
ただ、お二人さえ良ければ……ここに、居させて下さい」
やはり寂しげな瞳でそう言われ、二人は断る理由すら浮かばなかった。
また少しの沈黙の後、二人が微笑む。
「……勿論。構いませんよ」
「何なら毎日でも」
言って、フレンは剣を抜き、カルロスは右手をフレンに向けて向き合った。
「見るなら離れてろよ、とばっちりくうぞ」
口元には弧を描き、睨むようにフレンを見たまま言ったカルロスの手が僅かに光を放ち始めたのを、ミレイは確かに見た。
大して風も吹いていないのに、カルロスの髪が、服がふわりと揺れる。
「風よ、刃となりて敵を切り裂け――ウインドブレード!」
何が起こったのか、ミレイには分からなかった。
得体の知れない力が、カルロスの言葉に応えるように動く。
触れるモノ全てを傷付ける勢いで、風が周囲の木の葉を切り裂きながらフレンに向かう。
少しの間、こちらも睨むようにカルロスを見ていたフレンが、ようやく地を蹴った。
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