first chapter

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その青い瞳は何処までも深く、何だか“視(ミ)え”ない。 じっとその目をミレイに向け、彼は続けて口を開いた。 「えと……ミレイ、さん?  女性がこの様な場所へ来るのは危険かと思うのですが、一体何故……」 「………」 問いに、ミレイは答えない。 ただフレンをじっと見つめたまま、動かず立っていた。 それを見たフレンは慌てて手を振る。 言うのが嫌なら無理に答える必要は無いと。 フレンのその言葉に、ミレイはふっと目を細めた。 口元は相変わらずの一本線。 それでもただそれだけで、彼女の優しげな印象は増す。 言葉を失ったフレンは、彼女から目を逸らすことも出来なかった。 「父が……亡くなりました。  元々父一人子一人。他に身寄りは居(オ)りません。  このご時世ですから、珍しい話でも無いと思います」 「あ…………」 「この国に不釣り合いな広い家に一人遺(ノコ)され……私は、行き場の無い寂しさを紛らわせたかったのでしょう。  食事と睡眠以外はろくに家にも帰らず、ただ国内を彷徨っています」 淡々と、だが瞳を伏せ、ミレイは言う。
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