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確かに、珍しい話では無い。
今、外は戦争の真っ只中。
貴族でも食料を手に入れることは難しい程に、国は貧しく。
病に倒れる人は少なく無い。
恐らく話に出てくることすら無かった彼女の母親も、その犠牲者の一人だろう。
そして男は、幼い子供と老人以外は例外無く戦争に駆り出される。
父親が亡くなった原因など、考えるまでも無いということと取れる。
フレンにはそれがすぐに分かった。
決して他人事では無い。
現にフレンの父も兄も、戦争で亡くなったのだから。
「……分かります。
俺も、母様やカルロスが居なければ、きっと……」
正気では居られなかっただろうから……。
そう言って、フレンまでが目を伏せる。
彼の呟きに顔を上げたミレイは、少しの間それを見た後、再び問うた。
「貴方逹も、戦うのですか?
戦って……人を、殺めるのですか……?」
何かを訴えかけるかのような、そして同時に、二人を試すかのような言葉。
正直二人共、そんなことを問われるとは思ってもいなかった。
返答に困ったカルロスは後ろ髪を掻きながら助けを求めるようにフレンに視線を送る。
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