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だがカルロスが見たフレンは、口元に小さく笑みを浮かべていた。
「俺逹は、連立派にも独立派にも加勢はしませんよ。
今起こっているこの戦争は、無意味なんです。それをずっと主張し続けて戦って、父様……父も兄も亡くなった。
俺は二人の意志を継いで、この争いを止める為に戦うつもりです。無闇な殺生をする為に戦うわけではありません」
顔付きにも体つきにも、まだまだ幼さを残した青年。
だがそれを思わせない程のしっかりとした、確固たる信念でもって、戦火の中へ行こうとしている。
強い人だと、そう思った。
「……そう。
だが今のオレら程度の力じゃ弱すぎて、戦争を止めようにも戦火に飛び込んだ途端に朽ち果てるのが目に見えてる。
だからまずはこうして修行してるワケさ。独学だけどな」
思いもよらずフレンが穏やかに、そして冷静にミレイの問いに返したもので正直驚いていたカルロスだが、我に返るなり付け足すようにそう言った。
そうですか、とミレイはまた短く返す。
それから誰が口を開くでも無く、沈黙が流れた。
三人はその場に立ったまま、ただ互いの顔を見合わせる。
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