夜更け

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若葉。 若葉。 『若葉ぁ!!!!』 『はぃぃぃ!!』 若葉透。今年捜査一課に配属されたばかりの新米刑事である。 そしてもう一人。 『誰が事件現場までうたた寝して いいと言った!』 『すいません……』 笹川慶。捜査一課警部で、若葉の上司にあたる人物だ。 『今回はお前の見たことない殺人現場だ。気を引き締めてかかれよ。』 『はぃぃ…』 エンジンが止まった。 黄色のテープをくぐり、被害者のビニールがかぶさっているところの前まで行く。 そして手を合わせてから、ゆっくりとあけた。 『うわぁぁぁぁ!!』 若葉は驚くとともに、全身の震えをおさえられなかった。 ガタガタする。 寒気。 これが死か………。 『落ち着け、若葉』 警部の声で少し我に返った。 『ガイシャの特徴は?』 警部が現場検査官に尋ねる。 『26歳守屋公子という女性です。』 『死因は?』 『溺死です。』 『溺死………?』 おかしい。 昨日は雨は降っていたが、そんなに溺死させられるような量は降ってなかったぞ? 警部の頭の中で疑問が回る。 『おーい、若葉。』 『は、はい!』 まだビビっていたようだ。 『とりあえずガイシャの身元を洗うぞ。』 『はい!』 またエンジンがかかった。
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