親愛なるバカたちの饗宴

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後から聞いた話、あのラブレターもどきは俺を呼び出すための口実で、皆月はもちろんそんな気はなかったらしい。 だが、手紙をこっそりと入れるその姿を見た女子の一部、そう、ごく一部があらぬ誤解をし、好奇の目で見ていたことが一つと、そもそも俺がその手紙の内容を告白と勘違いしていたのがそもそもの元凶。 確かに、どの手紙にも、どこどこへ来てほしい、としか書かれていなかった。 ならなぜ筆跡を変えたのかと後に問えば、やや言葉を濁していたが、早い話誘い出すのが容易そうだったからということ。 紛らわしいわ! とにかく、この時の俺は得体のしれない恐怖に押しつぶされそうで、わき目も振らず家に帰って、そのあまりの剣幕にいつも厳しい姉ちゃんもびびっていたほどだ。 .
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