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――お父様はダメだわ!
姫は王の無能を断じた。あんな男に頼っていてラスタバンはどうなるのかと、この国の行く末を案じ、やはり将来自分が女王になるしかないと、決意を新たにする。
だが、さしあたっては、あの給仕長タニヤザールに一矢報いなければ気が済まない。姫の頭の中では、彼はすでに百回も死刑になっているほどなのだ。即位の暁に実行すべく『しけいちょう』には、いの一番に彼の名前が書かれている。
おまけに他の家来ときたら、タニヤザールには唯々諾々と従うくせに、王女である自分が命令しても、微苦笑を浮かべて、ちっとも言うことをきかないのだ。あのヴァーリックでさえ、給仕長のご命令ですからと、頑として動かない時がある。ここいらで、本当はどちらが偉いのか示しをつけなくてはならない。
かくて、エリダナ・チェローミア姫は、秘密計画を実行に移した。
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