エリダナ・チェローミア姫の陰謀Ⅰ

3/8
前へ
/80ページ
次へ
――お父様はダメだわ!  姫は王の無能を断じた。あんな男に頼っていてラスタバンはどうなるのかと、この国の行く末を案じ、やはり将来自分が女王になるしかないと、決意を新たにする。  だが、さしあたっては、あの給仕長タニヤザールに一矢報いなければ気が済まない。姫の頭の中では、彼はすでに百回も死刑になっているほどなのだ。即位の暁に実行すべく『しけいちょう』には、いの一番に彼の名前が書かれている。  おまけに他の家来ときたら、タニヤザールには唯々諾々と従うくせに、王女である自分が命令しても、微苦笑を浮かべて、ちっとも言うことをきかないのだ。あのヴァーリックでさえ、給仕長のご命令ですからと、頑として動かない時がある。ここいらで、本当はどちらが偉いのか示しをつけなくてはならない。  かくて、エリダナ・チェローミア姫は、秘密計画を実行に移した。  
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加