《九章》夢の中へ

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「あなたはさがってて!桜の木は私達が守るから!」 「はわわわわ!」 三蔵にさがるように言われた女の子は、その場から離れる。 「あたくしを愚弄した罪、死に値する!覚悟せよ!」 地湧夫人がそう言うと、部下の妖怪たちが武器を手に持つ。 「覚悟するのはそっちの方よ!」 涼鈴が背中の大刀を抜き、妖怪に斬りかかった。 悟空、悟浄、八戒も涼鈴の後につづき、妖怪たちを退治していく。 「ギャアッ!」 「グヘッ!」 悟空たちの強さは圧倒的で、部下の妖怪たちはあっという間に倒され、地湧夫人一人になってしまった。 「お、おのれぇ!これでもくらえ!」 「くらうか、ばぁか!」 地湧夫人が何かをしようとしたが、それよりも早く悟空の如意棒が地湧夫人の腹部に直撃した。 「こ、この桜花原は……あたくしのもの……げはぁぁ!」 地湧夫人はそう言い残し、その場に倒れた。 妖怪たちが居なくなったのがわかったのか、逃げていた女の子が三蔵一行のそばに駆け寄ってきた。 「お姉さまの木を守ってきださいまして、どうもありがとうです」
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