《九章》夢の中へ

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「問題は、どうやって起こすかってとこだが……」 悟空は腕を組んでしばらく考え込む。 「……そういや三蔵。確か夢の中に、この女が出てきたって言ってたな?」 「え、えぇ……」 三蔵は悟空の問いかけにうなずく。 「となると、この女は三蔵にここまで来てほしかったってことになるよな……ってことは、ここで寝ればもしかすると、また夢の中に出てくるかもしれねぇ」 悟空がそう言うと、八戒は驚く。 「そ、そんなぁ!こんなところで眠ったら、妖怪や山賊に襲われまっせ!」 「……やれやれ。また野宿か……」 悟浄は桜の木のそばに座りこんだ。 「夜中に三蔵に起こされてちょっと寝不足だし……ここで試しに眠ってみようよ」 涼鈴がそう言って桜の木のそばに座りこむと、悟空も座りこんだ。 八戒は皆が座りこんだので渋々座りこむ。 「お姉さま、起きるですか?」 女の子が三蔵に問いかける。 「絶対……とは言えないけど、夢の中でこの人に会えるように祈りながら眠るわ」 三蔵は女の子にそう言うと、桜の木のそばに座りこんだ。 「それじゃ、おやすみ」
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