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男は桔花公主に頭をさげる。
「そんな……神将の方のお役に立てて……私、光栄です」
桔花公主が男にそう言い返すと、男は三蔵に目をむけた。
「さて、と……あんたが大将か?」
「はい、三蔵と申します。あなたは神将の方ですね?」
三蔵は男に頭をさげ、男にたずねる。
「あぁ……俺の名前は炳霊公(へいれいこう)。見ての通り神将って奴だ。十六年前、天界から降りた時にちょっと手違いがあってこのお嬢さんとぶつかってな……そのまま俺は彼女もろとも夢の世界に吹っ飛ばされたってわけだ」
「なるほどな……それで、この人はずっと眠ったままになった、と」
そばで話を聞いていた悟浄が、腕をくみながらそう言ってうなずく。
その時、夢の世界に地震がおこりはじめた。
「おっと……どうやら長居は無用だな。世界が崩れかけてきている。俺はその錫杖の中に入る!あんたたちはこのお嬢さんと現実の世界に戻れ!」
炳霊公がそう言うと、三蔵一行はうなずいた。
「三蔵さんよ……」
「はい、なんでしょう?」
炳霊公は三蔵の顔を見たまましばらく黙りこみ、再び話しだす。
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