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「こ…ここだよ…。」
扉と壁に挟まれたウォンが、返事をすると、慌てて吟子が扉を元に戻した。
「ウォン、ごめんなのじゃ。」
吟子が謝ると、ウォンがおでこを押さえながら大丈夫と笑った。
「あれ、どうしたのその格好?」
魔女の帽子とローブを身にまとった吟子を見て、ウォンが目を丸くした。
「ハロウィンだから、ちかりに借りてきたのじゃ。どうなのじゃ?」
えへへと笑いながら、吟子がくるりと一回転してみせた。
「うん、かわいいよ。似合う。」
ウォンがニコニコと笑うと、吟子が照れたのか、下を向いて手を伸ばした。
「えぇっと…。トリックオアトリートなのじゃ!」
吟子が絞りだすようにそう言うと、ウォンが困ったように笑った。
「ごめんね。今日はまだ、お菓子作ってないんだ…。」
「それじゃあ、イタズラなのじゃな。」
吟子がニヤリと笑って、ウォンのわき腹をくすぐりだした。
「ちょ!やめて!!!吟子、わかった。お菓子作る、作るから!!!」
余程くすぐったかったのか、ウォンが必死に叫ぶと、吟子が笑いながら手を離した。
「じゃあ、いっぱい作ってちかり達にも持っていくのじゃ!」
そう言って、台所に突進する吟子を笑いながら、ウォンがついていった。
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