8人が本棚に入れています
本棚に追加
「うさちゃんはどれが好き~?」
デパートに着くと
このガキ…いや花は俺を着せ替えている
「花、うさちゃんは女の子?それとも男の子?」
「男の子だよ」
「じゃあズボン?」
「ううん、ワンピース!」
「『(いやいやいや…なんでワンピース!?男なんだろ!?)』」
俺は花が感覚ずれているのがわかった
俺はこの日、人生で初めてワンピースをたくさん着た…
俺…なんかくじけそう…
「あ、花トイレ行ってくる!」
「場所わかる?」
「うん!」
花は俺を持ったままトイレへと向かった
『(花ー…早くしてくれぇ…)』
俺はじょ、女子トイレの洗面台にいた
「このぬいぐるみ可愛い~」
「さっき入った女の子のかな?」
「羽ついてる~」
俺は女子共に囲まれていた
はっきり言う、俺は女っていうのが苦手だ
今まで俺は付き合うとかしたことねぇし、近寄られた事もねぇ
だから苦手なんだ
「うさちゃん?お姉さん達とお話してたの?」
『(花…助けてくれ…)』
俺はただそう思った
花がトイレから出る時、何処からか視線を感じた
その瞬間に視線を感じた方から花に男が走ってきた
「え…?」
『(なっ…!?)』
男は花を袋にいれた
誘拐だ…
「ママ!パパ!」
「うるさい!黙ってろ!」
俺は花の服に防犯ブザーがあるのに気づいた
袋の中は薄暗く、花は泣いている
俺は考える暇もなくブザーの紐を思い切り引いた
ビビビビビ…!!!
「なんだ!?」
「なんの音?」
周りがざわつき始めた
「パパー!ママー!」
「花ちゃん!?」
「おい、お前花に何したんだ!!」
どうやら花の両親が気がついたみてぇだな
「チッ…」
袋が激しく揺れた…走ってんのか?
「パパ!ママ!」
「花ちゃん!花ちゃぁぁん!」
「花ぁぁぁ!」
俺達は袋に入れられたまま車に乗せられたようだ
「おい、大丈夫なのか?気づかれちまったぜ?」
「覆面してたから大丈夫だ、逆に目の前でやったほうがあの羽島の奴ら絶対金出すぜ」
「あの羽島財閥だ、億はいけるぜ」
「そしたら一生楽して暮らせるぜ」
犯人は四人はいるみたいだな
「ママ…パパ…」
花は俺を抱きしめる
なんとかできねぇのか…
でも、俺は…今の俺はぬいぐるみ…
俺何ができんだ……?
最初のコメントを投稿しよう!