第一章

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「……いいえ、今は出来ない。無駄な戦闘は控えるわ。それじゃあね、紫水。」 紅蓮はそう言い残すと火の粉を振り撒いて消えた。 銃器を構えたままその場に固まる紫水は、拍子抜けしたような顔をして、呟く。 「………今日は異様にさっぱりしてるじゃない、紅蓮」 その後、紫水も不貞腐れた顔でその場から消えた。 ――――――とある研究所 とある研究所の中の一室。色々な機械が用いられ、研究が行われている。 その部屋の奥に、モニタールームがあり、その前に座りながら機械を操作している人がいる。 「…他のMachine dollの目覚めはまだなの?」 その人物に声をかけた紫水は、壁に寄り掛かったまま動かない。 「―――……紫水、か。第2誕生石アメジストだな。」 「そうよ。」 紫水の呼び掛けに、その人物は応える。 背中を向けたままで、表情は伺えない。 「私の誕生石の紅蓮は気に入ってくれたかい?」 「ええ。とても。興味深い対象よ。」 「そうかい。」 背中を向けたまま、くつくつと笑う。 「あまり乱暴なことだけはしないでくれよ。追い掛け回すのは自由だけど。」 「ああ、大丈夫よ。破壊はしないわ。」 「本当かな。紫水は手加減出来なさそうだから」 「クスクス…大丈夫よ。絶対に壊しはしないわ。だって、 愛してるんだもの、紅蓮を。」
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