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「羽織りだけ脱がしておけ。後は監察に処理させる」 男が斎藤君と呼ばれた男に応える。 それを横目に千早は少年を背に少年の前に立つ。 「それより、どうするんです?この子」 細身の若者が千早達の方に顎をしゃくって問うと、再び男は射すくめるように千早達を見た。 わずかな間を置いて、 「屯所に連れていく」 そっけなく言った。 「あれ?始末しなくていいんですか?さっきの、見ちゃったんですよ?」 「帰ってから決める」 との会話を聞いた少年は安心したのか、意識が途切れた。 倒れた少年を千早が受け止め、斎藤が担ぎあげようとした、が… パシッ 千早はその手を払いのける。 「触るな」 千早は殺気を丸出しで、言った。 「安心しろ。悪い用にはしない。」 斎藤はしずかにそう言った。 千早は剣で鍛えているといっても、女だ。 さすがに人を担いではあるけない。 それを斎藤は気付いているのだろう。 千早は斎藤に少年を任せる事にした。 さっきから少年と言っているが、この子も袴をはいているが、女だろう。 三人が歩きだした。 しかし細身の若者が振り向いて、 「何突っ立ってんの?君も来るんだよ」 といって私の手を掴み引っ張った。 振り払おうと思ったが、強い力で掴まれてるからきっと振り払えない。 半分ひこずられるようにして、ついていった。
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