5/9
前へ
/9ページ
次へ
どれくらいたったのだろう。 夜が明けてしばらくたってからだ。 布団に横たわっている少年、いや…少女が目を開いた。 昨日、ここまで連れて来られた二人は沖田、と名のった男に手足を縛られた。その時に沖田は何とも言えないような、それはそれは楽しそうに縛って、 「逃げようとしたら、殺すよ?」 っと言って、少女を布団に横たわらす…っと言うよりは、転がすといったほうが合っていると思う。 千早は壁に背をつけ、もたれるようにして座って動こうとはしなかった。 手足縛っているから逃げないだろうと判断した沖田は、少女と千早の刀を取り上げて出て行っていった。 それから一睡もせず、千早は起きていたのだ。 目を開いた少女に千早は声をかける。 「大丈夫か?」 「あっ、私昨日…」 少女は自分がどんな状況か思い出したようだ。 「あの、昨晩は助けていただいてありがとうございました」 「気にするな。私は夜桜千早、お前、名は?」 「ゆっ雪村千鶴と申します!」 雪村…千鶴… 「そんなにかしこまるな。歳は近い、敬語は無しだ。千早と読んでいいぞ、千鶴」 「あっうん」 「千鶴、お前は女だろう?何故わざわざ男装までして京にきた?」 「えっ何故わかったの?」 「私も女だ」 「えっ」 千鶴は目を見開いている。 女らしく無いのはわかっていたが、そこまで驚くほど、だったのか…
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加