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どれくらいたったのだろう。
夜が明けてしばらくたってからだ。
布団に横たわっている少年、いや…少女が目を開いた。
昨日、ここまで連れて来られた二人は沖田、と名のった男に手足を縛られた。その時に沖田は何とも言えないような、それはそれは楽しそうに縛って、
「逃げようとしたら、殺すよ?」
っと言って、少女を布団に横たわらす…っと言うよりは、転がすといったほうが合っていると思う。
千早は壁に背をつけ、もたれるようにして座って動こうとはしなかった。
手足縛っているから逃げないだろうと判断した沖田は、少女と千早の刀を取り上げて出て行っていった。
それから一睡もせず、千早は起きていたのだ。
目を開いた少女に千早は声をかける。
「大丈夫か?」
「あっ、私昨日…」
少女は自分がどんな状況か思い出したようだ。
「あの、昨晩は助けていただいてありがとうございました」
「気にするな。私は夜桜千早、お前、名は?」
「ゆっ雪村千鶴と申します!」
雪村…千鶴…
「そんなにかしこまるな。歳は近い、敬語は無しだ。千早と読んでいいぞ、千鶴」
「あっうん」
「千鶴、お前は女だろう?何故わざわざ男装までして京にきた?」
「えっ何故わかったの?」
「私も女だ」
「えっ」
千鶴は目を見開いている。
女らしく無いのはわかっていたが、そこまで驚くほど、だったのか…
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