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「おはよう。昨日はよく寝れた?」
昨日、私達を縛った沖田が急に声をかけてきた。
「寝心地は…あまり…」
「あれ?さっき僕が声をかけた時全然起きてくれなかったけど」
不意に告げられた言葉に、千鶴はカッと赤くなる。不覚とでも思っているのだろう。
それよりそもそもあいつは部屋などには来ていない。千鶴をからかっているのだろう。
「安心しろ。あいつは部屋などには来ていない。」
千早がそう告げると、えっ?って顔をして見上げて来る。
「…からかわれているだけだ。総司はあんたらの部屋になど行ってはいない」
そう言ったこの男も見覚えがある。昨夜あの場所にいた、確か斎藤君と呼ばれていたはずだ。
「ひどいな、一君。バラさなくてもいいのに」
沖田が悪びれた様子もなく言うのを、
「てめぇら、無駄口ばっか叩いてんじゃねぇよ」
上座の左端に座っている男がぴしりと遮った。
昨夜、副長って呼ばれた人だ。
「で、土方さん……そいつらが目撃者?」
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