包まれて

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7side 目を開ける 彼がいる ふと彼の匂いに包まれる 「ふふ」 好きやな なんて思いながら笑ってしまう あまりにも幸せ すると彼が目を擦りながら俺を呼ぶ 起こしてしまったか 申し訳ないな 「どないしてん」 「起こしてもうたね」 「ちゃうで?起きてもうた、や」 「ほぉか」 心地好い 低くもなく、ましてや高くもない彼の声が耳に響く 幸せやぁ また顔が綻ぶ 「んふふ」 「ふじぁら」 「ん?なに?」 「…いや、なんもない」 「なによ、それ」 連れないなぁ どうせ、らしくない言葉でも浮かんだんやろ? サブイボでるくらいのキザな言葉が浮かんだんやろ? 分かるっちゅうねん 「貴ちゃあん!!!」 「でぇえい!引っ付くな!鬱陶しい!!」 「なんや!照れとんのか!」 「狭い!!狭いって!!」 「…ちっ」 「舌打ちすんなや」 だぁって冷たい… ツンデレなのは萌えるけど デレ無いからさぁ いや、それはそれでなんやけど 「なんやねん、コロコロ表情変えて…情緒不安定か」 「貴ちゃんが優しく接してくれないんだものっ!アタシだって拗ねるわよっ!」 「オカマやめ」 「もぅ、知らないっ!」 「……」 プイっと背を向ける 勿論拗ねるなんて嘘八百 コントの範疇でクルンと回転する すると褐色の細い体が俺を包む びっくりして小さく声を上げてしまった 「た、か…?」 「もっと体格あったらなぁ」 "色々楽やったのに"なんて呟く一回り小さい男前 こいつの体温とか 言葉とか匂いに包まれて 最高の寝起きになった気がした **End**
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