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「…ぇ?今っ、なんて…?」
僕の聞き間違いやろか
今、オトンの口から…
嘘?えっ
「もう、転勤は無いそうや」
「っ、なんで…」
「嫌やったか?」
「…っそんなんちゃうし!話ってそんだけ?」
「せや」
「あっそ」
正直、本音を言うと嬉しい
友達を失わんで済んだから
嬉しくて、嬉しくて
顔が綻ぶ
でも、それはそれで悩みを増やした
"明日からどう接するか"
それだった。
確かにくだらない
けど、僕は皆とは直ぐに離れてしまうと浅く接してしまっていたので
もっと深くを掘りたいのだ
「タイミング悪…」
こんなんだから何時までも昇進しないんや
ほんまに
「おう、おはよ」
散々悩んだ挙句、結論は出ず
何時も通りに接する
あぁ、浮いている気がする
「カードゲーム!しよ!!」
「おん!!あ、菅も…って興味ないんやっけ」
「っ…お?おん」
嘘や
ほんまは滅茶苦茶興味ある
遊び倒したい
けど急に変わったら、逸れこそ変人扱いされる
くっそ、転勤族めが…!
「菅」
「あ?うーちゃんや」
「教えて…」
あらま
これは追い込まれ状況って奴ですか
しゃーないやっちゃな
「どこを」
「絵なんて…絵なんてっ!」
「はは、絵心ないもんなぁ?自分」
さて、一緒に付き合ってあげますか
全く、優等生とはいえ人間らしく弱点拵えてるのね
驚きやわ
「そんかわり、数学教えろや」
「逸れでえぇなら喜んで」
「ははは」
…えぇ奴やな
いやいや、前から友達だったし、知ってはいたけど
うーちゃんのこと、もっと知りたい
そんな風に思ってしまった僕がいた
「うーちゃん」
「はい?」
「帰ろっ」
「おん」
帰路の途中
僕は今までの愚痴を曝け出した
うーちゃんになら話してもいいと思ったから
「ありえへんわ、今更」
「そっかあ、大変やねんな」
「せやねん」
「あ~、ここでお別れや」
楽しい時間とはあっという間に過ぎるものか
御名答だ
帰ろうとするうーちゃんに大きい声でこう問うた
「俺と、親友になってくれ!!」
二人がまだ
付き合う前の物語
**End**
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