第14話 嘆きの亡霊

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 ガバッ  ―――と、ユイの顔を自分の胸に抱き寄せた。 ユイ「……!?」  突然の事にユイはうろたえてしまう。 サクラ「こうしていれば、誰にも見えないよね。私が隠してあげるから、思いっ切り泣いていいよ」  そうサクラに言われた時、ユイは今まで堪えていた理性が、一瞬にして無くなってしまった。 ユイ「あ……ああ……」  鳴咽をもらし、内に抑えていたものの全てが流れ出す。 ユイ「――――――っ」  溢れ出したユイの泣き声を、サクラは自分の胸で抑えて誰にも聞かれぬよう、ユイを抱きしめる。  本来自分が護るべき存在に、今はユイ自身が守られていたのだった。  アビアノ基地の整備室において、整備士長のエバ・オーストン中尉は大きく伸びをして肩を鳴らした。仕事が一段落終わった時にする彼女の癖だ。  彼女の目の前には1機のゲシュペンストが佇んでいた。  それはユイのMk-3だ。キョウスケがMk-3リペアと称した、正式名ゲシュペンストMk-3・タイプRである。  装甲は藤色と青の継ぎ接ぎ、左腕は紺色で改型使用の腕、頭部は横一文字の赤目に左側から鋭く黄色い左目が浮き出ている。  エリスが急拵えの修復で何とか動けるようにしたものだが、実際はいつ機能停止してもおかしくは無い、半壊状態の機体だった。  最初エバがこの機体を見た時は、驚いて顎が外れかけた。ここまでボロボロになっても動くPTはそう無いはずだ。余程にパイロットの執念か、もしくは整備士の信念がこのMk-3に伝わったと言う事なのだろう。  それから丸一日かけてMk-3を修復した。見た目こそ同じだが、量産型ゲシュペンストMk-2や改型のパーツを強引に繋ぎ合わせていた頃とは違い、今度はフレーム構造からそのまま複合した。  例えて言うなら、以前は切断された部位を縫い合わせただけに比べ、今回は骨や神経、血管等の全てを繋ぎ合わせた状態と言う訳だ。
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