クレジットカード

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翌日大輝は、仕事が終わるのが待ち遠しくて仕方なかった。 定時になると、用事があるのでと誰より先に会社を出て、最寄りの銀行に寄りATMでカードの利用可能枠を確認した。 真奈美にクレジットカードを預かってから、先ず一番最初にしようと思っていた事は、カードの取引状況を調べる事だった。 「ショッピング利用可能額30万円、キャッシング利用可能額20万円…うーん、合わせて50万円の利用価値があるってことか。」 夕方だというのにたまたま他には誰もいなかったので、じっくりと画面を見る事ができた。 「今月請求額0円、支払残高0円…当たり前か。ずっと使ってないって言ってたもんな。」 大輝は、もし周りに人がいたとしてもおそらく聞き取れないであろう小さな声で画面の文字を読み上げ、独り言を呟いた。 このカードを手渡してくれた時、真奈美からは特に何も言われなかった。 もしこのカードを使った時は責任持ってお金を頂戴ね!等と念を押される事もなかった。 ただ、省悟の方から引き落とし日を聞くと、毎月28日よと答えただけだった。 省悟としても、真奈美に立て替えさせて後から支払金を渡すよりも、引き落とし日に間に合うように先に渡すのが常識だろうと判断はついた。 真奈美にそこまで深く信頼されている以上、期待に応えなければならない。 少なくとも今は。 カードの利用価値をもっと大きくするまでは。
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