鬼の目にも涙。

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「やっぱ裏庭でまったりするのがいいよね~」 あたし、白戸 葉月(しらと はづき)。 二つに結んだ三つ編みがトレードマークの15歳、高校一年生。 チビだの童顔だの言われるけど、あんまり気にしない性格。 この裏庭は入学してすぐにお気に入りになった場所。 あまり人が来ないからお化け庭なんて言われてるけど、あたしはこの裏庭が大好きなんだ。 「うぐ……。 えぐ……」 おや? 誰かが啜り泣く声がするわね。 まさか、噂の幽霊……ってオチ? 「……誰か泣いてる?」 あたしは声のする方へ、そろりそろりと近づく。 「うう……。」 何と一人の長身の男が泣いているではないか。 足……あるわよね。 ……ってこの人は! 「(ぎゃーっ! あれは地獄の番犬の生徒会長!?)」 泣く子も黙る生徒会長ではないか! あの黒いオーラに鋭い目つきを見た者は畏怖する。 一年で生徒会長の座を奪い君臨する天才かつ変態。 生徒会長・狩谷 剛毅(かりや ごうき)。 名前からして厳つい。 「ひん……。 ひん……」 うわぁ。 泣きまくってるんだけど。 「(見つかる前に去らないと……。)」 抜け足差し足忍び足……っと。 バキッ 「(ギャーッ! お約束ぅ!?)」 思いっきり木の枝踏んでしまったぁ!
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