嫌な予感

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「はぁ」  最近、ため息をつく回数が増えた。椅子の背にぐっと寄りかかる。片づけても片づけても、溜まるばかりの書類。 「……窃盗に放火、この国も病んできている」  年々、少しずつだか犯罪が増えてきている。小さな国だというのに、治めきれないのはなぜか。……あの王では仕方ないか。王と言いながら実質的な仕事をするのは僕。彼はただ民衆の前で笑えばいい。そんなのでは、国民はついてきてくれないというのに。 「失礼いたします」  ノックもせず、侍従のラスターが入ってくる。手にはまた大量の書類。 「ラスター……ノックをしろといつも言っているだろう」  またため息がもれた。
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