嫌な予感

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 もう一度ため息が出るというとき、ゴーンと鐘がなった。仕事終わりの鐘の音。 「王子、残業は禁物ですよ」  鐘の音を聞き、途端にテンションのあがったラスターは、僕に笑顔をひとつくれると、 「お先に失礼します」  さっさと帰っていく。ここのところ、終わると同時に帰って行くが、なにかあるのだろうか。僕は見ていた書類から目を離し、カーテンを開いた。まぶしい光に思わず目がくらむ。  城下はまだ、賑わっている。  僕はカーテンを閉めなおし、椅子に座った。残業をするために。
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