嫌な予感

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「ラスター」  白い廊下を歩いていると、ここのところ毎日聞いている人の声。 「お待たせいたしました」  ゆっくりやってくる三番目の王子に微笑みかける。 「イチ兄は残業?」 「あの方は熱心ですから」  苦笑。ラスターは三番目の王子、ミズキの腕に抱えられた紙吹雪を見て、表情をゆるめる。ダンボール箱にいっぱいの紙吹雪。今日一日、ずっと作っていたのだろうか。 「飾り付け、足りるかな」  いつもぽけーっとしてつかみ所のない王子。そう思っていたけれど、なかなか頼りになる男のようだ。 「まだ時間はあります。さあ、行きましょう」  二人は秘密の部屋へ、歩き出した。
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