8人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな時だった。
城の入城門のところに、大勢の人々が居るのを見付けたのは。
気になって、私は立ち上がり窓に近づく。
綺麗に手入れされたガラス。
指紋がつかないように、枠を持って開ける。
ふわりと入ってきた爽やかで心地良い風が、優しく頬を撫でた。
それとは裏腹に、門はやけにうるさい。
複数の警備兵が次々と城の中から出て行く。
両手を広げ、声を張り上げ、武器を向け…どうにか制止してはいるようだ。
だがしかし、徐々に兵が内へと押されていくような気がして、しばらく見ていてみた。…それは気のせいでは無く、人々は兵ごと進んでいた。
“…警備兵達はもう少し訓練が必要ね…”
とにかく、城内に入る前に止めなければ。そう思って、軽く佇まいを整えて部屋を出ようとした。
すると、私がドアノブに手をかけるより早くドアが開く。
ノックもせずに入ってきたのは、慌てた伝達兵だった。
王の間に入る前はノックをとあれほど言ったのにと、少し呆れた。
何となく用件を予想をしながらも何事かを聞くと、やはりというか、入城門で起こっている事を伝えに来たそうだ。
黒王様には伝えたのかを問うと、寝ていたらしく、起こしても聞いてくれないのだという。
やれやれと、兵と共に部屋を出る。
黒王様はもう良い、あと今後ノックを忘れずにと兵に言って、門へと向かった。
.
最初のコメントを投稿しよう!