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高く高く建設された城は、降りるのにも登るのにも一苦労だった。
息を切らして外へ出ると、より一層騒ぎが大きくなっていたようで、横幅が結構あるのにも関わらず人々が端から端まで溢れかえっている。
近くに居た警備兵に、事情を聞くべく近寄ると、いち早くこちらに気づいて敬礼をした。
「あっ、ひ、姫様!ほほほ本日はお日柄もよく…」
コクハ「ええ、良い天気ね。ところで、この騒ぎは何かしら?」
見合いのような言葉を言っていたが、軽く流して問う。
「それが、どうやら押し掛けているのは全員白の民のようでして」
コクハ「…え?」
“まさか、あの方の所の民が?
あの姫の命令の下でなんてことは…
無いわよね?”
優しいあの方が民を仕向けるなど有り得ないと、そう思いたくて唇を噛み締めた。
「敵国と言えど、善良な民であることには代わり無いとの団長の判断の元で、白の民に話をうかがってみたんですが…」
コクハ「それで、何と?」
「みな聞く耳を持たずに口々に言うのです。
白の姫様の為に、白の国の為にと。」
コクハ「そっ…そう。とりあえず、民の事はあなたたちに任せます。しかし、傷をつけてはなりませんよ」
「はっ!」
また敬礼をして、去っていく警備兵。
私は、きっと民が自主的にやったものだと信じたかった。
あの白の姫様が差し向けるはずが…無い、と。
それでも、カタカタと手が震える。
“本当に…違いますわよね…?”
空を見上げると、澄んだ青色が何処までも続いていた。
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