第壱の章-白く黒く-

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僕は、白の姫。 姫なんて言うけれど、服装は男性を心掛けている。 そもそもの外見が、男にしか見えない(らしい)。 だから、それに合わせてというのもある。だが、元から男性には憧れていたため、今もこのような格好をしている。 白く長い上衣は、ふくらはぎまである。 襟の縁取りは青。結構気に入っているのだが、じい様――仕えの者は、もう少し高貴な物を着てくれと言う。…むしろ泣く。 上衣だけ白ければ後は自由で良いらしいので、黒の袖が無い長めのシャツを一枚と、真っ白なズボンをいつも着用している。 いつもと言えど、ちゃんと変えてはいる。同じものしか持っていないので、見た目に変化は無いが。 隣国は黒の国。 この城より少し高い゙闇城゙を、自作の双眼鏡で眺めてみた。 自作の双眼鏡だし、隣国ではあるが物凄く離れているので、゙闇城゙は少々見辛い。 だけど、綺麗な漆塗りだと僕は思う。 こちらは所々に青の線を入れているだけの白い城。 汚れが付いたら目立つので、1ヶ月に一回は僕が自主的に掃除をして回る。 仕えの者達も手伝ってくれるので、1日で綺麗になる。 その掃除が昨日の事だったので、今日はわりと疲れが溜まっている気がする。 だが仕事はやらなければいけない。 肩を少し叩いて、書類に目を向ける。 誰々が入国するので許可証を出してくれ等や、竜巻で被害を負った民家の修繕費の計算、城の経営する牧場の、動物達の世話用の費用――… それら一つ一つに、僕はこちらが出せる費用や入国許可の証を書いて行く。 .
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