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日向が本部に行ったのを確認し、ゆりは神道の方を向く。
すると・・・・・。
既に神道は男子の場所まで行っていた。
この数秒間のやり取りの中で、どうすればあの場所まで行けるのだろう。
この場から現在神道がいる場所まで、70メートルはあるだろう。
ゆりはまた、神道の凄さを知ったのだ。
神道は男子を抱えたまま歩いてくる
。
制服に男子の血が付着しているようだが、特に気にしていないらしい。
元の場所に戻ってきたものの、ゆりは動かなかった。
「神道君って、一体何者なの?」
ゆりの質問はシンプルだった。
足を止めずにゆりを追い抜いていく神道。
もし答えられるのならば答えたかった。だが、答えられなかった。
自分が何者なのか、それが分からない。
だが「答え」では無いものの、言えることが一つだけあった。
ここでようやく神道の足が止まった。
「何者とか、そんなんじゃない」
「・・・・・」
ゆりは黙って聞いていた。神道の声を
「俺はどこにも行かないし、いなくならない
お前が俺を求めるのなら、必ず現れるさ」
そう言い、再び歩き始める。
ゆりは動かなかった。否、動けなかった。
神道の声が脳裏に焼き付いてしまった。
ゆりは顔を上げて神道の方を見て
、理解した。
自分は心底あの男に惚れているんだろうと。
その時には、既に動くようになっていた。
ゆりは駆け足で神道の元へと走っていった。
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