新メンバー

3/3
前へ
/7ページ
次へ
日向が本部に行ったのを確認し、ゆりは神道の方を向く。 すると・・・・・。 既に神道は男子の場所まで行っていた。 この数秒間のやり取りの中で、どうすればあの場所まで行けるのだろう。 この場から現在神道がいる場所まで、70メートルはあるだろう。 ゆりはまた、神道の凄さを知ったのだ。 神道は男子を抱えたまま歩いてくる 。 制服に男子の血が付着しているようだが、特に気にしていないらしい。 元の場所に戻ってきたものの、ゆりは動かなかった。 「神道君って、一体何者なの?」 ゆりの質問はシンプルだった。 足を止めずにゆりを追い抜いていく神道。 もし答えられるのならば答えたかった。だが、答えられなかった。 自分が何者なのか、それが分からない。 だが「答え」では無いものの、言えることが一つだけあった。 ここでようやく神道の足が止まった。 「何者とか、そんなんじゃない」 「・・・・・」 ゆりは黙って聞いていた。神道の声を 「俺はどこにも行かないし、いなくならない お前が俺を求めるのなら、必ず現れるさ」 そう言い、再び歩き始める。 ゆりは動かなかった。否、動けなかった。 神道の声が脳裏に焼き付いてしまった。 ゆりは顔を上げて神道の方を見て 、理解した。 自分は心底あの男に惚れているんだろうと。 その時には、既に動くようになっていた。 ゆりは駆け足で神道の元へと走っていった。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加