木漏れ日の恋

触れ合う心

　かえでの言葉に進二は少しだけチャンスの匂いをかいでいた。

「僕も実は迷ってるんですよね。でも、先生が来られるなら、楽しみだなって。変ですか？」

　少しオーバーだなとは思ったが、押してみても損はないと感じていた。

「うふっ、ご一緒していただけるなら、私も楽しいかも。うふっ、私も変ですか？」

（バカッ、主人も子供もいるのよ！なに、調子に乗ってんの？まさか、私、喜んでる？うそっ！）

　かえでの答えに、進二は心が踊っていた。

「イエイエ、変じゃないですよ。ただ、あなたと一緒になんて、心がウキウキしてますよ。独身だったら間違いなく誘惑してますよ。あっ、ごめんなさい、ホント、口説いちゃいますよ。こんな美人ほっとけませんもん。」

　照れながら言う進二に、かえでは心のトキメキを隠せなかった。

「そんな、本気にしちゃいますよ。お上手なんだからぁ。うふ、いいですよ。あなたがどんな風に私を口説いて下さるのか、楽しみにしてます。うふふ。」

（どうしたんやろう？今まで、こんなんなかったのに？やっぱり惹かれてる。おかしい、あたしには子供も主人もいるのに？どうて？まさか？この人は知ってる？そんなん、ありえへん。）

　かえでの中にある疑問が頭を持ち上げていた。
　一方、進二の方も彼女の答えに、なぜ彼女が彼の少し変わったアンテナに引っ掛かったのか疑問だったが、疑問が少しほどけた気がした。