49人が本棚に入れています
本棚に追加
あえて無邪気そうにしながら、
(わかるかしら?私、期待してるの?だめよ、主人と子供がいるんだから、それに、卒論がわかっても、本当にしたかったのは別のだし、、。)
進二はやはりと納得したように、心の中でかえでが罠にかかりつつある手応えを感じていた。
「えっ、卒論ですか?そいつは、難しいかなあ?でも、変わったやつってなんだろう?うーん、普通は時代の風俗やら芸術かなぁ。けどそれじゃ変わってないし、ひょっとして刑法史かなぁ。たまにいるんですけど?」
(さあて引っ掛かるかな?クククッ。)
舌舐めずりをするように、進二はかえでの様子を伺っていた。
「えっ、すごーい、当たりです。初めてです。当てられたの!嬉しい。」
(どうして、わかったの?でも、卒論はその通りだから、でも、本当のことまでわ、、、。)
予想通りの答えに、進二は思わず心の中でほくそ笑んでいた。
「うわっ、嬉しい!まぐれでも当たると嬉しいですねぇ。良かったぁ。外れなくて良かったぁ。あっ、ちょっと大きな声出しすぎですね。ふふふ。」
(やっべえ、回りに丸聞こえだったな。ちょい注意やな。けど、刑法か、ホンマは刑罰か拷問かな?モウチョイ、突っ込むかな?)
進二の眉毛が少しむず痒くなり、彼の予感が間違っていないことを教えていた。
最初のコメントを投稿しよう!