序章

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「父上!! 急いで下さい!! 早くしないと生まれてしまいます!!」 とある貴族の屋敷の廊下を、一人の少年が父の手を引き走っている。 「わかっている! 俺だって急いでるんだ」 父は手を引く少年を微笑ましく追う。 「弟ですかね? 妹ですかね?」 少年はかなり興奮している様子である。 「さあ? ついてからのお楽しみだ」 父は意地悪そうに、わざとそう言う。 「あの部屋です」 長い廊下の先にようやく目的の部屋が見えてきた。 ちょうど一人の医者が部屋から出てくる。 「ヴォルフ様お生まれになりました」 医者は父を見つけるとそう言う。
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