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目を開けると目の前には白が広がっていた
色んな薬の匂い、
あ、保健室。と思う
起き上がってぼけっとしていると先生が私に気付いて駆け寄ってきた
「大丈夫?ボールが当たって倒れたみたいだけど」
あ、そうか
体育やってて、倒れた時を思い出して頭を触るとたんこぶができていた
「あら、たんこぶ。放っておけば治るけど、これからは気を付けてね」
はい、と言って保健室から出る
すると佐倉くんがちょこんと座っていた
「平気?」
「うん、ちょっとたんこぶできちゃったけど」
佐倉くんは立ち上がって私の頭を撫でた
びくっとなって固まってしまう
「…なんかごめん」
ふるふると首をふって、ありがとうと言う
ぱっと顔をあげると佐倉くんが頬を染めていた
「顔、赤いよ?」
熱があると思って手を首に当てる
私の背では少しおでこに届きそうにないから
佐倉くんが私の触れた所をおさえて後ずさる
「え?」
熱はなかったけどびっくりさせちゃったかな
「赤くなってたから熱があると思って」
「え。あぁ、そういうことか」
他にどういうことがあるのかと思ったけれど思い付かなかった
少し沈黙が流れる
佐倉くんが口を開いた
「よかったよ、なにもなくて。もう授業終わるから行こう」
こくっと頷いて佐倉くんの後に着いていく
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