-日常-

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  「お待ちどぉさん! 豚骨一筋! 味は保証しまさぁ!」  注文から五分程しか経っていないのに、もうラーメンが来た。ゴトッと置かれた器の中には注文通りチャーシューたっぷり。ねぎとメンマがトッピングされていて、豚骨のすごくいいにおいがする。 「「「いただきます」」」  パキッと割り箸を割り、ツヤツヤと輝く麺を口へと運ぶ……。そして、レンゲでスープをすくい、飲む。 「こ……これは……」  気付くと俺は二口目を口へと運んでいた。  おいしい? いや違う……そんな月並みな言葉じゃ表現しきれない……。上品? 濃厚? コクがある? いや、それじゃ説明不足だ。   圧倒的な食への感動が俺を体の芯からしびれさせた。  嗚呼! この美味しさを表現出来ない自分の語彙力の低さを呪いたい!  麺とスープの複雑に絡み合うシンフォニー。こってりとしたスープを、太麺が豚骨の風味ごとからめ取る。濃厚豚骨のガツンと来る旨味が麺と溶け合い、舌を刺激する。えもいわれぬ旨味爆弾が口の中を満たす。美味いと感じ、ツヤツヤと腰のある麺が喉を通過するころには箸は既に次の麺をリロードしている。  止まらない!  ふと横を見ると2人も、驚きと喜びが混ざったような表情で黙々と食べ続けている。そんな俺達を見てか、おやっさんも満足げな表情を浮かべている。  「ごちそうさん!」 「ごちそうさま」 「OH! My GOD!」  What!? 「めちゃくちゃ美味いなコレ! スープが違うのか?」  なぜか英語で神を叫んだ慶佑が背もたれに体を預け、感動の面持ちでおいしさの要因を探る。その顔には自然と笑顔が浮かび、それは俺と遥人も例外ではなかった。 「お気に召されたようで何よりでさぁ」  いやはやホントに美味いなこりゃ。完食まで10分とかかってない。チャーシューも分厚かったし満足満足。
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