-発端-

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   でも――――  なんだろうな。今日みたいに御飯を食べに行ったり、滅茶苦茶なやり取りがあったり。そういう楽しい出来事がある。それは喜ばしいことであるし、代え難いものだと思う。だけど、そんな日が毎日続く訳じゃない。そりゃあ高校生活三年間、千日以上過ごすなら特に何もない退屈な日だってある。当たり前だし、仕方ない。それは分かってる。  でも、例えば慶佑みたいに誰かが好きだったりするならどうだろう。俺だって17年生きてきたんだ。恋ぐらいしたことはある。その時は何をするにしても楽しかったな。席替えなんてもう緊張も緊張である。今の席替えなんて何とも思わないけど中学は神様に一生のお願いを何度も使ったな。無視されたわけだが。  ああ。  くそ。まただ。  時々黒い気持ちが表に出ようとする。嫌な衝動。  恋愛について考えると駄目だと思っていても考えてしまう。本当はこんなこと考えたくなんかない。それは今の好きな現状を壊すに等しいことなのに。 ―――あの5人の中で疎外感を感じてしまうなんて。  駄目だな、ホントに。俺はあの5人でいることが好きなはずなのに。なんで疎外感なんて。5÷2は余り1。その余りが俺なだけ。  思春期ってバカだな、と思う。  中学時代、俺はそれどころじゃなかったのに。余裕ができれば、すぐ調子に乗ってしまう。  胸につけてるペンダント。  あの子は今どこで何をしているんだろう。
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