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「……………外国人?」
「いや普通そこ反応するとこじゃないでしょーに」
呆れられた、盛大に肩をすくめて。反応するところを間違えるほど動揺してる俺は正常なはずだ。
年は俺と同じか少し上くらいだろうか。パッと見は美人さん。艶々なロングヘアーを背中の真ん中くらいまで垂らしている。顔はハーフを思わせる、俺の周りには居ないような顔立ちで、凛とした雰囲気を纏う。
顔は小さめで、座っているから分かりにくいが、スレンダーな体型と見える。負けん気強そうな若干のつり上がった目に、妖艶な口元。高い鼻。めっちゃめちゃ美人じゃないか。
リズ、と名乗った彼女が本来反応してほしかったところを追及しようとすると、先に彼女が口を開いた。
「そんなことよりさぁー、私にもソレ、作ってくれない?」
「いや、〝そんなこと〟で片付けられる問題じゃないでしょーに」
何故か頼んでもいない迎えにご馳走する方向になっている。ゆめゆめ油断ならないヤツだ。
「いいじゃないそれくらい。君を探すのすっごい苦労したんだから! ていうかこっちが名乗ったら名乗りなさいよ!」
ごねたり怒ったり忙しいヤツだな。ファーストインプレッションは大人っぽい感じなのにな……第一名前も知らずに家に上がるか普通。
「いやアンタ侵入者だからな? 家主に物乞いする泥棒(意味不明)みたいになってるからな?てかどうやって入ったんだコノヤロー」
寝る前に戸締まりするのは一人暮らしの基本中の基本である。なのに部屋にいるのはどういう了見か激しく確認したい。
「ぐっ……。まあいいわ。とりあえず君。昨日の夕方のこと、知りたくない?」
――――!
ヤバい。知的好奇心が余すところなく刺激されている……! これを聞かない手はない。
「すっごい知りたい」
「ソレを作った「いやだからただの侵入者じゃないことを証明してくれ」
どんだけ食べたいんだよ……。
別に作ってあげるのは構わないけど得体の知れないヤツに、はいどうぞってできるほど俺は人間できちゃいないぞ? 呆れながら、そんなことを思った。
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